私どもダイハツは、かねてより、軽自動車を中心とするスモールカーに特化したビジネスモデルを追求してまいりました。
特に近年におきましては、
・低燃費と低価格を追求した「ミラ イース」、
・お客様の求められる機能や性能に徹底的にこだわった「タント」や「ハイゼット」、
・そして、この手法を海外にも展開し、「その国のお客様の好みやニーズ」を盛り込んだインドネシアの「アイラ」、マレーシアの「アジア」。
ダイハツは、これらのクルマづくりを通して、「お客様に一番近い会社」を目指してまいりました。また、同時に、「『小さいクルマならでは』に拘ったものづくり」を悩みながらも、やり抜いてきたと思っております。
・SSC~シンプル-スリム-コンパクトの概念を初めて導入した、ダイハツ九州 大分第二工場や、
・海外においては、ものづくりにおける「その国のベスト」を目指し、インドネシアやマレーシアの拠点を、競争力のある工場へと鍛え上げてきました。
トヨタ自動車との間でも、
・1960年代からの受託生産、
・2004年からの共同開発
・さらにOEM供給など、
両社のニーズに合った、最適な連携方法を模索してまいりました。
一方、この先を見通しますと、私どもには
・「グローバルな事業展開力」や、
・「環境/安全規制への対応」、「電動化や自動運転」、「つながる技術」など、
社会的ニーズ、お客様ニーズに応える、次世代技術への対応の必要性が、待ったなしに迫ってきています。
これらは、今後、当社の成長には欠かせませんが、対応を進める過程において、自らの事業規模を超えるリソーセスが必要となるのは明らかです。
目まぐるしく変化する事業環境や、新たな技術開発競争が激化する中、課題を克服し、また、今まで以上に強みを発揮し続けていくには、トヨタ自動車との連携を一層強化し、トヨタ自動車の完全子会社として共通の戦略のもとで「もっといいスモールカーづくり」に取り組んでいく必要性がある、との認識に至りました。
今後のダイハツ工業・トヨタ自動車の協業の具体策を3点、ご説明申し上げます。
1点目は、「小型車戦略」です。
これまでダイハツが国内外で手掛けてきました、例えばブーン/パッソ、セニア/アバンザのような姉妹車よりも、デザイン・仕様をもっと差別化することで、それぞれのブランドのお客様の満足につなげてまいります。
その実現に向け、ダイハツがこれまで取り組んできた、「それぞれの国や地域のお客様のニーズに合わせたクルマづくり」をさらに進化させてまいります。つまり、小型車については、ダイハツブランド・トヨタブランド、それぞれの個性が際立つ、「もっといいクルマ」をご提供いたします。
2点目は、「技術戦略」です。
その特長は、「次世代技術で世界をリードするトヨタと、技術の小型化・低コスト化が得意なダイハツが、将来の技術戦略を、その初期構想段階から一緒に作り上げる」という点にあります。
戦略を共有する事で、小型車や軽にも次世代技術をよりタイムリーに、より低価格で搭載できるようになり、ダイハツ車と、トヨタ車のお客様のメリットにつながるシナジーを、発揮していきたいと思います。
最後3点目は、「事業戦略」です。
新興国においては、ダイハツが主体となって、独自のものづくりのノウハウを活かし、事業を展開・牽引してまいります。
そのカギとなるのは、スピードと効率です。
この両立のために、ダイハツはトヨタの、トヨタはダイハツのものづくりの基盤を相互に活用し、事業の立案から開発・調達・生産に至るプロセスを、より迅速に、より効率的に進めてまいります。